消防職場のQ&A 労働安全衛生編 ―2003年8月版―
 

・発行/全国消防職員協議会 消防総合研究委員会
・A5判/44頁 ・頒価\300
 

消防総合研究委員会では、「消防職場のQ&A」シリーズ第二弾として「賃金・勤務時間編」に続き「労働安全衛生編」を発刊しました。日々変化する安衛関係法令のなかで、消防職場の基本的な安全衛生対策を集約しており、わかりやすく多くの職場で活用していただける内容になっています。


は じ め に

 日本における自治体消防制度は、1948年の発足から「国民の生命、身体および財産を火災から保護し、水火災または地震等の災害を防除し、これらの災害に異なる被害を軽減することを任務とする。」としています。このことから、自治体消防では各地域社会において市民生活の基盤となる安全と安心を確保するという重要な行政サービスの一端を担っています。
その一方で、この消防行政へのニーズとその業務需要に応える大半の消防職場では「一昼夜24時間拘束勤務」という特異な交替制勤務を旧態依然として採用されています。語るまでもなく、ここに働く消防職員は災害や事故現場での人命救助や消火作業等の危険がともなう緊急活動に従事することになっています。「いつでも・どこでも・ただちに」災害や事故の対応が求められる消防職員は、その災害や事故等の現場活動中のみならず、平常時の通常業務中においても緊張感から完全に解放されることはありません。
したがって「災害や事故から人命と財産を守る」という消防職員自らの安全確保のみでは収まらない立場から、これらの活動に従事するにあたっては、高い安全性とその充実が求められます。また、一日24時間不可欠業務に従事する者として、労働条件とともに職場環境の充実・改善も求められます。
このような状況に対応するため、私たち全国消防職員協議会(全消協)消防総合研究委員会では、「消防職場のQ&A:賃金・勤務時間編」に引き続いて、「労働安全衛生編」を発刊することとしました。この冊子は、消防職場での安全衛生対策の基本的な事項を集約したものであり、多くの消防職場で全員参加型の安全衛生対策活動の構築とあわせて、消防職員協議会活動のさらなる前進のために活用していただければ幸いです。

※不可欠業務=ILO条約勧告専門家委員会は、「その役務の中断が、住民の全部または一部の生命・個人的安全もしくは健康に危険をおよぼすような業務(業務内容上、ストライキ規制は許される)」としている。一方、ILO条約勧告専門家委員会は、日本の国家公務員法・地方公務員法の中で、公務員のストライキを一般的に禁止し、これに対して懲役刑を含む罰則規定を設けていることについて、ILO87号条約違反の観点から日本政府に注意を喚起している。

  2003年8月

全国消防職員協議会 消防総合研究委員会


目   次

Q1 労働安全法は消防職員にも適用されますか?
Q2 消防職場での安全・衛生管理体制はどのようなものですか?
Q3 安全管理体制上どのような責任と義務がありますか?
Q4 安全・衛生委員会の設置と活用はどのように進めますか?
Q5 安全・衛生委員会の運営と審議はどのように進めますか?
Q6 50人未満の消防職場での安全・衛生活動はどのように進めますか?
Q7 消防業務中での災害発生はどのような状況ですか?
Q8 公務災害とはどのようなものですか?
Q9 公務災害の救済制度はどのようになっていますか?
Q10 災害補償はどのようになっていますか?
Q11 公務災害の認定手続きはどのように進めますか?
Q12 認定基準についてはどのようになっていますか?
Q13 災害補償に関する「決定に」不服がある場合にはどのような手続きを取りますか?
Q14 公務災害に係わる認定基準とその事例にはどのようなものがありますか?
Q15 通勤災害とはどのようなものですか?
Q16 レクリエーション活動中の災害はどのようになりますか?
Q17 職場環境の安全基準はどのようになっていますか?
Q18 職場環境の衛生基準はどのようになっていますか?
Q19 消防活動上の安全確保にはどのような着眼点がありますか?
Q20 救急業務等の安全衛生対策にはどのような着眼点がありますか?
Q21 現場活動での保護具や装備品等の充実をはかるためどのような取り組みが必要ですか?
Q22 明るく快適な職場環境づくりの着眼点としてどのようなものがありますか?
Q23 定期健康診断にはどのような項目がありますか?
Q24 女性消防職員の深夜業等に対してどのような点に留意する必要がありますか?
Q25 メンタルヘルスについてどのような着眼点がありますか?
Q26 セクシュアル・ハラスメント対策の基本的な視点はどのようなものですか?
   
<資料編>
1. 消防本部安全衛生管理規程(全消協案)
2. 公務災害認定請求書
3. 心・血管疾患及び脳血管疾患、精神疾患、結核感染事案の公務災害認定に関する資料
4. 通勤災害認定請求書