5月14〜16日、神戸市で,第32回全国消防職員研究集会が開催され,全消協未加盟自主組織・未組織消防本部の消防職員23人を含む34道府県130単協348人(うち女性3人)が参加した。集会では、市町村合併の推進や2002年12月の常備消防体制の在り方研究会最終報告などをうけて、地域社会における公共サービス維持・充実にむけた単協運動の方向性について活発な議論が展開された。
まず,主催者を代表して米田晋会長の挨拶のあと、自治労の竹花恭二副委員長、岩間茂自治労兵庫県本部副委員長から連帯の挨拶を受けた。
挨拶の後、谷内栄次事務局長から、2002年5月の第31回集会以降の活動および8組織が新たな全消協加盟状況について報告を受けた。
報告のあと、財団法人地方自治総合研究所辻山幸宣主任研究員・理事より「市町村合併にともなう地方自治の変化と消防行政(共同の地域崩壊と常備消防)」と題して、本集会の基調講演が行われた。講演の中で、1.民間委託などが進む中、地域の安心・安全は直接行政が担うことが住民より求められている。その期待に応えるためにも、消防自らが建設・福祉部局などとの政策連携・提案を通じて行政を担っていくという共通認識を持つ必要がある、2.市町村合併にともなう消防の広域化に対しては看過することなく、消防職員一人ひとりが、住民の生命と財産を守る観点から、住民との協働により地域社会における公共サービス維持・充実する取り組みが求められるなどについて提起を受けた。
続いて、「各地域で問われる住民本位の消防行政の実現にむけた単協運動」と題してパネルディスカッションを行い、1.市町村合併と軌を一として展開されている消防の広域化に対しては、住民本位の消防行政を実現するうえで適切な組織単位について検討し、地域事情に応じた消防のあり方を地域で発信することが必要である、2.地域で暮らす住民の安心・安全を守るための役割の再確認とともに、住みよいまちづくりに参画することで存在価値を高める働き方を追求する、3.住民本位の質の高い消防サービスを展開するうえで十分な資機材・情報およびその前提となる財源の確保が必要であることなどについて報告され、それに続いて議論を深めた。パネルディスカッションの後、日本の労働側代表として参加した松永徳芳自治労産別建設局長から「ILO公共緊急サービス部門合同会議」の概要について報告を受けた。報告の中で、「今の会議で労使合意により採択されたガイドラインには、使用者・労働者・住民参加の社会的対話のメカニズムのもと、質の高いサービスの設計と供給の確保に役立つ労働条件を実現することなどが示された。これを今後の各協議会活動に活用していただきたい」と述べた。
第2日目は、前日の提起を受けて、消防職場の問題について、「組織の強化・拡大と消防職員委員会」、「賃金・労働条件の改善のために」、「快適な職場づくり(労働安全衛生活動)」、「21世紀の消防行政−地域安全・安心センターを考える」、「救急医療体制について」の各分科会に分かれて、活発な討議が行われた。
第3日目の全体集会では、各分科会からの概要、全消協が2003年に今後の組織強化・拡大の取り組みへの活用を目的に実施した職場改善事例調査の集約について報告された。
続いて、菅家功自治労労働局次長から「大星ビル管理事件最高裁判決の意義と今後の運動課題」と題して、2002年2月28日の最高裁判決の問題点と、全消協・自治労の見解と総務省消防庁・厚生労働省の見解を対比させながら、詳細な解説を受けた。引き続き、谷内栄次事務局長から消防職場の勤務時間問題(無賃金拘束時間の解決に向けた運動展開の検討)に関する提起があり、その後、質疑応答を行った。
参加者からの地域の状況と報告と全体の運動の方向性について質問をうけて、谷内事務局長は「今回提起した仮眠休憩時間の出動実態調査を踏まえて、自治労と協議を経て、今回お示しした国会、行政、司法対策を適宜取り組むとの運動の方向性について、2004〜2005年度の活動方針に反映する」と回答した。最後に米田会長から、3日間の総括がされ、「団結がんばろう」で集会を終了した。
※2004〜05年度活動方針
仮眠休憩時間の出動実態調査結果、消防職員委員会での審議結果集約を踏まえ、自治労と連携・協議しながら人事委員会・公平委員会に対する措置要求、さらには司法対策をも視野に入れた支援協力体制の確立をはかります。
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