3月 日本政府の結社の自由違反についての提訴に関する追加情報
日本の消防職員の団結権と消防職員委員会について
日本政府の結社の自由違反についての提訴に関する追加情報
1.団結権
現行法の規定(条文) |
特徴的な権利侵害の事例 |
われわれの主張 |
(1)団結権の否認
国家公務員法第108条の2第5項―「警察職員及び海上保安庁又は監獄において勤務する職員は、…当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。」 |
これらの職務における一方的指揮命令に対し、それをチェックする仕組み、存在がないことが警察不祥事の大きな要因であ
ることは疑いを待たない。監獄等においても、閉鎖空間であるだけに、業務が一方的指揮命令関係のみで律されているとすれば、その公平・公正を保障することは難しい。 |
これら職員以外の職員団体の活動制限を鑑みるに、あえてこれら職員についてのみ一律的に団結権を制限する必要性は認められない。また、一方的指揮命令関係による様々な弊害に対して、民主制確保の仕組みとして、職員団体の組織化は大きな役割を果たすことになる。 |
地方公務員法第52条第5項―「警察職員および消防職員は、…当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない」 |
1965年に87号条約を日本政府が批准して以来36年が経過しているが、条約を批准している国のうち、消防職員の団結権 を禁止しているのは日本のみとなっている。
(追加資料bP:内容は掲載記事参照) |
日本の消防職員が団結権を持っていない現状は当然に87号条約に合致していないと考える。
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1.全消協について
全消協は自主的な組織として、1977年8月に36組織2,500人で発足し、現在180組織11,500人が結集している。結成以来、消防職員全体の連帯意識を高め、明るい魅力ある職場づくりと会員の生活・権利の向上、そして消防行政の改善と団結権の確立をめざした活動を展開している。
また、連合や自治労との連携を通じて、諸課題の解決に取り組んでいる。消防職員委員会については、政労合意を踏まえた民主的な運営と実効性の確保に努力してきている。ただ、消防職員委員会の効果的な運営や、全消協の運動を実現していくために不可欠な自主組織づくりについては、消防当局などの不当な妨害や圧力もあって、大きく進展していない。根底には団結権が付与されていない問題があり、全消協は一日も早い団結権の確立を希求している。
2.消防職員委員会の運営経過と今後の対応について
(1)連合・自治労および全消協は、委員会制度を民主的かつ有効に活用するなかで、消防職員の団結権保障への環境作りと国民的合意を推進していく立場で取り組んできた。
(2)その結果、特に全消協加盟の職場では、職員の意見が一定反映され、職場環境が改善されてきた。自主組織のある消防職場ほど、消防職員委員会は機能しており、消防職員に団結権を保障する環境はいっそう整いつつあると考える。
(3)一方では、かなりの職場で消防職員委員会が開催されず、職場課題の解決が進まないなどの問題点がある。詳細な検証作業による報告を予定しているが、現段階で把握している問題点は以下の通りである。
1.消防職員委員会で職場環境の改善がはかられない理由
○意見集約を所管する部署で事前に意見の取捨選択が行われている。
○審議結果に対して消防長や首長部局に履行する義務がない。
○政府の普及啓発や自治体当局・消防当局の対応に不適切さがある。
2.消防職員委員会によって民主化が進んでいない理由
○審議結果に対し、消防長や首長部局が十分に応える施策を行っていない。
○意見を提出した職員に対して当局側からの不当な弾圧や嫌がらせなどを受ける。
○当局の不当な圧力や懸念材料による職員の躊躇や諦めがあり、意見提出がないために委員会が開催されないケースが相当数出てきている。
(4)消防職員委員会制度は、職場の環境改善を一定進めたものの、消防職員の勤務条件を決定する制度としては不十分で問題も多いところである。制度導入後6年を迎えているが、政府は法改正に向けた検討を進めていない。
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