第64号

2002−2003年度活動方針(補強修正案)

団結権獲得は、組織強化・拡大から!を共通認識にしよう

   全消協は、8月22日に山口市において第26回定期総会を開催します。昨年の総会から採用している複数年度にわたる活動方針を補強修正する総会となります。その2002−2003年度活動方針補強・修正案の主要部分を掲載しますので、各消協での検討をお願いします。
 


(1)公務員制度改革

1. 連合・自治労・公務員連絡会と連携を強化し、労働基本権の確立を前提とした公務員制度改革の実現に向けて取り組みを強化します。
2. 公務員制度改革に関する情報を収集し、会員に対して情報提供を行います。

(2)団結権の獲得

1. 消防職員の処遇や消防行政のあり方などについて、全消協が消防庁・全国消防長会などと意見交換できるような環境づくりに努めます。
2. 国際公務労連(PSI)をはじめ、諸外国の消防労働組合との交流を通じ、国際支援の輪の拡大や世論形成をはかります。
3. 国会議員への働きかけを強化します。
4. 各地においても、県・自治体・消防長会・地方議員などとの話し合いを進めます。
5. 連合・自治労・公務員連絡会と連携を更に強化します。
6. ILOに報告できるよう、未組織を含めて、これまでの消防職員委員会制度の実態を継続して調査します。

(3)消防職員委員会制度

1. 委員会の民主的な運営を求めるとともに、問題点を抽出し、自治労を通じて、関係省庁・全国消防長会等へ働きかけます。
2. 全消協発行の「消防職員委員会の手引き」を再読し、委員会制度の有効活用と、自主組織のない職場に制度の定着をはかります。
3. 円滑な委員会運営のために、多くの単協会員を委員に選出します。
4. 提出意見は連名にするなど、単協で意見を十分に集約し、効果的に提出し、審議する体制を整えます。
5. 委員会の開催時期は、審議結果を予算に反映できるように求めます。
6. 全消防本部の委員会活動状況を把握し、情報交流をはかるとともに「審議対象外」とされた提出意見への対応策など共通した課題に取り組みます。
7. 委員会での審議結果を、消防当局だけでなく首長部局にも働きかけ、その実現を求めます。
8. 単協と当局との話し合いの場を併存することを求めます。

(4)組織拡大

1. 全消協の中期的目標を全国消防職員の過半数に置き、各県に組織拡大行動委員会を設置し、アクションプログラムに基づき、全消協組織拡大委員のもとに具体的行動を推進し、当面3万人制をめざします。
2. 全消協のコンセプトをより明確にし、広報紙・インターネットなどにより未組織職場へのアピールを強化します。
3. 全消協や各地域で開催される交流会、学習会、セミナー等への参加を未組織職場へ呼びかけます。
4. 消防職員委員会の実態把握を基本に、自主組織の必要性を未組織職場へ呼びかけます。
5. 空白県の解消のため、1県1組織の結成に向け重点未組織消防本部を選定し、さらに取り組みを強化します。
6. 自治労組織と協力関係にある消防職場、あるいは、自主組織の結成を終えているところは、全消協への加入をめざします。
7. 円滑な消防職員委員会の運営を促進するための消防職員への指導と、組織化を一本化して取り組みます。
8. 自治労の横断的組織とも連携強化をはかり、消防に関する情報提供と、組織化に対する支援を求めます。

(5)組織強化

1. 定期総会は事業内容の実効性を高めるため、「活動方針提起総会」と「活動方針補強総会」に区分し、隔年ごとに開催します。
2. 全国消防職員研究集会を開催し、労働条件や消防行政、消防職員委員会、女性消防職員の労働環境などの取り組みについて、会員相互の情報交換や交流の場とします。
3. 労働講座については、全消協運動を進める上での基本的な学習の場と位置づけ、より適切な受講者層・プログラムにより引き続き複数回開催し、学習会への参加しやすい環境づくりに努めます。
4. 消防を取り巻く社会情勢の変化及び高度情報化社会の進展に即応するため、広域行政問題・消防職員委員会・高齢者再任用問題・職場環境改善事例など、単協活動の参考となる情報の提供・収集など情報機能のあり方について検討を行い、情報機能の整備と強化をめざします。
5. 組織規模、地域事情等により、各単協で共有できる問題について解決に向け情報交換を進めます。
6. ブロック連絡協議会は、各県消協・単協間の連絡調整などを行います。
7. 未加入者や新規採用者の組織加入を積極的に行い、組織の強化に努めます。
8. これからの時代を担う活動家の人材育成をしながら、幅広く各世代からの意見収集を行い、社会変化に対応できる組織づくりに努めます。
9. 他の消防の仲間、自治労、関係団体との日常交流や情報交換を行うとともに、積極的に学習会の開催・参加をします。

(6)労働条件・職場環境の改善

<労働時間など>

1. 無賃金拘束時間を可能な限り短縮します。
2. 変形労働時間制の期間として、「1ヶ月以内」を遵守することを求めます。また、週休日を割り振る基準として「4週間」を原則とし、使用者により恣意的に週休の振替運用がされているところは是正を求めます。
3. 労働時間配分の明確化をはかり、休憩時間内の労働(出動など)に対して超過勤務手当の支払いを求めます。
4. 休憩時間に係る基本原則適用除外を定める労働基準法施行規則の見直しを求めるとともに、深夜を含む労働の総量と深夜勤務の回数規制を設けるよう取り組みます。
5. 「大星ビル管理事件」最高裁判決を踏まえ、過去の判決を含めた詳細な分析を行なうとともに、自治労を通じて、総務省消防庁・厚生労働省への取り組みを今まで以上に強化します。
6. 時間外勤務の縮減を求めるとともに、恒常的なサービス残業に対しては、超過勤務手当が支給されるよう求めます。
7. 明番・週休日などの勤務時間外における恒常的・定期的な業務命令(予防査察・救命講習・訓練など)を撤廃し、適正な人員配置を行い、通常勤務のなかでこれらの業務がスムーズに遂行できる体制を求めます。
8. 勤務形態・労働時間の改善事例を収集し,各単協へのフィードバックに努めます。
9. ヨーロッパ消防行政実態調査報告書を作成します。

<賃金の改善>

1. 明番・週休日などのやむを得ない勤務従事には、身体的に拘束する全時間を対象に、超過勤務手当の支払いを求めます。
2. 消防職員の給与実態について引き続き調査を実施し、基本賃金ならびに諸手当のあり方についてさらに研究を進めます。
3. 組合消防内における賃金格差解消をめざし、積極的に構成市町村での情報交換を行い、消防職員委員会などを通じ、高水準の自治体の賃金に準ずるよう改善に取り組みます。
4.  同一自治体職場での一般行政職員との賃金格差が生じないよう積極的に情報交換を行い、昇給・昇格制度の整備に努めます。

<高齢者再任用制度の確立>

1. 該当者にアンケートを実施するなど、制度化に必要な基礎的データを整理するよう求めます。
2. 関係団体・部門と協議し、再任用・再雇用を希望する者全員が働くことができるよう職域の研究と拡大・職場の確保に向け取り組みます。
3. 希望者が就労意欲を損なうことなく、安心して働き続けられる環境づくりに取り組みます。
4. 各自治体における条例、運用内容などの情報交換をし、実態の把握に努めます。

<労働安全衛生対策>

1. 労働安全衛生法(以下安衛法)の趣旨をいかし、民主的で職員一人ひとりが積極的に参加できる安全衛生活動を推進します。
2. 私たちが従事する現場活動には、あらゆる危険性が潜在しています。現場活動時の安全確保・健康確保をはかるため、消防当局に必要な情報の提供、安全衛生教育の徹底、資機材の整備充実を求めます。また、開発された機械・器具が遅滞なく消防現場に導入されるよう求めます。
3. 業務中や業務に起因して発生したと思われる傷病などについては、すべて公務災害認定請求を行うよう取り組みます。また、未組織職場での事故についても泣き寝入りに終わらせないよう働きかけます。
4. ストレス対策など、メンタルヘルス問題対策の強化に向けて、まず、職場で気軽に話し合える環境づくりを進めるとともに、すべての職員がメンタルヘルスに対する正しい知識を持ち、人権の尊重・プライバシー保護を基本に、労務管理・人事管理とは完全に切り離したカウンセリング体制の充実を求めます。
5. 男女雇用機会均等法および男女共同参画社会基本法の趣旨に基づき、セクシャルハラスメントに関する学習会等の取り組みや、女性職員専用の浴室・便所・仮眠室・休養室・更衣室を設けるなど、性別を考慮した施設の整備などを求めます。
6. 消防職員が、24時間職場に拘束される中で、福利厚生の充実は必要不可欠です。そのため、食事環境の整備・仮眠室の個室化などを求めます。

(7)消防行政の改善

<救急業務の充実> 

1. 年々増加する住民からの救急ニーズに応えるため、救急救命士の養成、救急隊員の専従化の推進、教育・研修機会の充実、住民に対する応急手当普及啓発などが行えるよう、増員措置を求めます。
2. 救急隊員の資質を向上するため医療機関への派遣研修などの充実をはかるよう求めます。なお、派遣にあたっては、派遣先の労働条件との整合性を十分に考慮した上で実施することを求めます。
3. 救急救命処置拡大の法整備・法改正を働きかけます。
4. 救急隊員は関係法令を遵守し、救急活動に際し、自己責任が問われることがないよう、消防当局に責任の所在を明らかにするような運動を進めます。
5. 精神科救急医療・周産期小児科救急医療体制の充実を含めた整備・強化を求めます。
6. 地域医療計画や救急体制の抜本的な見直しのため、地域の医療関係者と連携をはかり、発症現場から社会復帰までの体系的整備(命のネットワーク)づくりについて研究をさらに進めます。

<広域再編>

1.広域再編にあたっては、次のことを求めます。

●消防本部の規模のみを判断材料とするのではなく、住民の生活圏・消防需要の動向・サービスの水準・住民の意思などを総合的に検討すること。
●人員の削減を主たる目的に置くのではなく、あくまで住民の消防に対する行政需要と、市町村の消防責任との均衡をはかること。
●署所の統廃合などにより住民に対する消防行政サービスの低下を招くことなく、総合的に向上すること。
●消防職員の身分・賃金など処遇が不利益とならないようにすること。

2. 市町村合併が考えられる単協は、早急に地域実情にあった消防行政サービスのあり方について研究し、自治労県本部・単組と連携して合併協議会に提言するよう求めます。

3. 自治体の主体性や、市民参加システムの制度化、設立目的、権限と財政負担の均衡などの観点から「広域連合制度」を導入した場合の検討を行います。

<地域安全・安心センター>

1. 「地域安全・安心センター」構想に関して、各地域の実情に応じた消防行政のあり方を、各単協で主体的に分析・検討します。
2. 会員をはじめ各方面から、消防行政の将来展望について幅広い議論の素材の提供を求めます。
3. 具体的行政実例を収集し、分析・検討を行うとともに、その情報を提供し、各地域での議論の活性化に努めます。
4. 医療・福祉・保健・教育機関等、他の関係機関との連携について、さらに検討します。

<時代に対応するシステムづくり>

1. 消防法の一部改正により予防行政の責務が増大し、その積極的推進のため、予防担当職員の増員が基準財政需要額の算定基準に盛り込まれています。基準に盛り込まれた予防担当職員の増員を求めます。あわせて、予防担当職員の研修・育成の充実をはかるよう求めます。
2. デジタル化について、導入に伴う費用にかかる財政支援を求めます。
3. 広域応援に関する諸規定が「消防力の基準」にうたわれていない矛盾点を指摘し、財政面も含めた広域応援体制のあり方を検討します。
4. 「新時代にふさわしい常備消防のあり方研究会」についての情報を収集・検討を行い、その情報を提供します。
5. 大規模災害の発生に備え、各自治体で地域防災計画の見直しが行われ、消防においても広域応援体制の整備などが推進されています。私たちは、視点を変え、「災害に強い人づくり」を進めるため、行政として何をすべきか、その担うべき役割などについて研究します。
6. 地域の消防行政について、各県自治労・自治研究センターとともに、行財政の問題点の調査・分析など、地方自治・行財政の研究活動を進めます。
7. 地域の防災計画、消防行政の改善のため、住民や有識者を中心としたシンポジウムの開催を計画するなど、世論の喚起に努めます。
8. 各地域の消防責任を果たすための消防力体制を研究します。
9. 広域応援に関する諸規定が「消防力の基準」にうたわれていない矛盾点を指摘し、財政面も含めた広域応援体制のあり方を検討します。
10. 消防総合研究委員会は、消防に関わる各種問題を調査・研究します。