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ILOと消防職員団結権 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2. ILO結社の自由委員会関係資料 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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日本政府の結社の自由違反に関する提訴状2002年2月26日 (1) 第2次世界大戦直後、占領軍による超憲法的措置に基づいた日本の現行の公務員法制がILO第87・98号条約に違反し、国際労働基準に適合していないことは、ドライヤー委員会報告や結社の自由委員会の139・236次報告などですでに明確になっている。しかし、日本政府は、ILOの再三にわたる勧告を無視し、これまで何らの改善措置をとってこなかった。 (2) 日本政府は2003年には公務員法制の全面的な改正を行おうとしている。G8の一員である日本政府のILOの諸原則への深刻な違反は、アジア諸国の労働組合権の発展にとっても極めて大きな障害になりかねないことから、もはや事態は一刻も猶予できない状況にある。 (3) 日本政府が決定した今後の公務員制度改革のスケジュールを考えれば、われわれは、日本政府が国家公務員法の改正法案要綱を閣議決定する予定の本年12月以前に、つまり本年11月に予定される結社の自由委員会において本提訴が審議され、日本政府に対して結社の自由を侵害する現在の作業を直ちにストップし、日本の公務員制度を国際労働基準に沿ったものに改めることを求める勧告が出されることを強く希望する。
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区 分 | 団結権 | 団体交渉権 | 争議権 | |
国 家 公 務 員 |
非現業公務員 | ○ (警察、海上保安庁職員等は×) |
× | × |
現業公務員 (独法公務員を含む) |
○ | ○ | × | |
地 方 公 務 員 |
非現業公務員 | ○ (警察、消防職員は×) |
× (書面協定可) |
× |
現業公務員 | ○ | ○ | × |
これらの日本の公務員法制がILO条約に違反・抵触することは、ILO監視機構から累次の批判や改善勧告を受けてきたことからも明確である。1965年のドライヤー報告、結社の自由委員会139・236次報告、数次にわたる条約勧告適用専門家委員会報告等の指摘は次の通りである。
(1) 日本政府がILO87号条約を批准するに際し(批准は1965年)、ILOは1965年1月、結社の自由委員会の実情調査調停委員会(ドライヤー委員長)を派遣して日本の公共部門の労使関係の実態を調査し、同委員会は6月に調査報告書を出した。 | |
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1.争議権の一律・全面禁止について 「すべての争議行為を違法として一律に禁止することは極めて問題である。 本委員会は、ストライキが禁止される場合に労働条件に関する問題の解決と苦情の救済のための現在の機構は、全体として適当なものとはとうてい言いがたく、現行制度は徹底的に検討される必要があるものと考える。」(事実認定と勧告の要約19、24項) |
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2.管理職員の範囲のあり方について 「本委員会は、管理職員の範囲について、その現在のあるいは将来の組合員の相当な部分を奪うことによってその団体を弱体化するほど広範囲に定義を行うべきでないこと、また人事委員会及び公平委員会が各別に行う管理職員の指定について、その間にいっそう高度の一貫性を達成すべきことを勧告する(2202項)。」(事実認定と勧告の要約54項) |
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3.非現業公務員に対する交渉権限・内容の制限について 「本委員会は、「管理及び運営」に関する事項と団体交渉の対象となる事項との間に、実際問題として、どこに境界線を引くべきかについては、より良い了解に達するよう努力すべきものと勧告する。」(事実認定と勧告の要約60項) |
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4.在籍専従制度のあり方について 「本委員会は、法律の定めた若干の場合を除いて、職員が給与を受けながら職員団体のためにその業務を行い、または活動することを禁止する規定について、その内容を明確にするよう勧告する。」(事実認定と勧告の要約63項) |
(2) 1972年及び1973年に、日本の公共部門の数多くの労働組合は、日本政府がドライヤー勧告を無視し87号、98号条約に違反して、日本の公共部門の労働者の労働基本権を侵害している実態について結社の自由委員会に提訴した。これに対して結社の自由委員会は139次報告で次のように指摘した。 | |
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1.消防職員・刑務職員・海上保安職員の団結権否認について 「消防職員−日本において、独自の特徴があるが、警察や軍隊の構成員ではない−の団結権に関する申立てについて、当委員会は、87号条約の規定はこの種の労働者を同条約第9条に基づき団結権から除外するものではないという条約及び勧告の適用に関する専門委員会によって表明された見解を政府に指摘すること、しかし、団結権とストライキ権は異なった二つの問題であり、かつ前者は必ずしも後者を含むものでないことを想起することを勧告する。」(180項) |
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2.職員団体の登録制度について 「当委員会は、立法が組合の登録に制約を課しており、かつこれらの制約が当該組合の構造及び構成に関連があると考える。ある組合が非登録であるということは、不動産の取得、団体交渉及び役員の任命に関する組合の権利を侵害する。特に団体交渉に関しては、関係当局は登録団体によるいかなる交渉の申入れにも「応ずべき地位に立つ」にもかかわらず、非登録団体の場合には、応ずることを拒み、したがって交渉を拒否することができるものと考える。また、たとえ非登録団体に財産を取得するための他の法的手段が開かれているにしても、登録制度の効力は団体の横わり、および縦わりの小さな単位に分割することを永続させることになる。その上、この制度は87号条約で規定するような結社の自由原則に照らして問題を生ずる。」(170-171項) |
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3.現業公務員の交渉への政府介入とその内容の制限について 「使用者及び組合の双方が誠意を持って交渉すべきであるという原則の重要性―このことは、ストライキに訴えることが禁止されている公務又は重要産業において特に重要である―を想起すること。 管理運営事項と雇用条件の双方に関係する事項に関する法規が、日本における現行制度に鑑み、労働協約によってなされるであろう可能な改善を妨げるものであってはならないことを想起すること」(334項) |
(3) 1983年に日本の公務員組合は、1982年の人事院による公務員の賃金改善勧告を政府が実施しなかったことから、結社の自由委員会に提訴した(1165事件、1263号事件)。 これに対して結社の自由委員会は、その222次報告および236次報告で、労働基本権制約の代償措置が当該公務員に保障されること、およびILO151号条約の基準にしたがった賃金および労働条件の決定手続きの確立と当該労働者のこの手続きへの参加を求める以下のような結論と勧告を行った。 |
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1.結社の自由委員会第222次報告 「本委員会は、1982年の人事院勧告が実施されないことを遺憾とし、将来、人事院勧告が完全かつ迅速に実施されること、ならびに団体交渉権及びスト権という労働組合権の制約に対する一つの代償措置が当該公務員に保障されることを強く希望していることを表明する。」(168項) |
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2.結社の自由委員会第236次報告 「日本の公務における雇用条件等を決定する現行制度が関係当事者の信頼を確保するものといえるかどうかにつき、強い疑念を表明せざるを得ない。政府はこれらの労働者が目下のところ享受していない基本権の適切な代償となるような公務における賃金および労働条件決定手続を確立し、当該労働者が雇用条件等の決定に参加できるよう強い希望を表明する。」(274項) |
(4) 1983年の専門家委員会報告(「結社の自由、団結権と団体交渉に関する条約および農村労働者団体に関する条約と勧告の適用に関する一般調査」)において、結社の自由等に関する原則が述べられているが、日本の公務員法制はこの原則に合致していないことが改めて明らかになっている。その主なものは以下のとおりである。 | |
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1.管理職員の範囲のあり方について 「他の労働者の利害を代表する労働組合への加入を管理職員に禁ずることは、必ずしも結社の自由とあいいれないわけではないが、ただしそれは、二つの条件に基づく。すなわち、まずこれらの人々が自らの団体を結成する権利を持つこと。次いで,企業内、同一活動部内の他の労働者団体が、その時のあるいは潜在的な加入者数の相当部分の加入を禁じられて弱体化することのないように、管理職員ないし機密に関与する従業員のカテゴリーが広すぎないように定めることである。」(131項) |
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2.労働組合活動の自由(政治活動の自由)について 「ILO総会が労働組合運動の独立に関する1952年の決議で示しているように、労働組合がそれぞれの国の法と慣行に従い、また組合員の決定によって、その経済的・社会的目的の前進のための手段として、政党との関係を樹立することや、合憲的な政治活動を行うことを決定する場合、このような政治的関係や行動は、その国における政治的変化にかかわりなく、労働組合活動の継続性やその他の社会的・経済的機能を損なうような性質のものであってはならない。 さらに、政府がその経済的・社会的政策の実行に労働組合の協力を得ようとする場合、このような協力の価値が、社会進歩の不可欠な要因としての労働組合運動の自由と独立に大きく依存しており、自らの政治的目的達成のための政治的道具に組合を変容させようとしてはならないことを、政府は理解すべきである。最後に、政府は、政党との自由に確立された関係を口実として、組合の正当な活動に干渉しようとしてはならない。 したがって本委員会は、すべての政治活動を禁止する、あるいはその反対に、組合と政党との密接な連関を確立する法的規定は、条約の諸原則に反する、と考える。」(196-198項) |
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3.争議権の一律・全面禁止について 「ストライキ権に関して、全般的な禁止は、労働組合が組合員の利益を向上・擁護するのに利用しうる手段に対する、またその活動を組織する権利に対する、大幅な制限となるものである。ストライキに対する恒常的な禁止は、公的機関の役職者としての資格で行為する公務員と不可欠業務における労働者に対してのみ課されるべきである。ストライキの目的と用いられる手段に関する制限は、ストライキ権行使の事実上の全面禁止もしくは過剰な制限を招来しないように、十分に妥当なものでなければならない。」(226項) |
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4.争議権の禁止違反に対する刑事罰と行政処分について 「ストライキに関して本委員会は、結社の自由の諸原則と合致するストライキ禁止に違反する場合にのみ刑事罰を課すべきであると考える。加えて、これらの事例における制裁は、犯された違反行為に対して相応するものでなければならず、拘禁刑は平和的なストライキの場合に課されるべきではない。不均衡な刑事制裁の適用は、調和のとれた労使関係の発展にとって好ましいものではない、と本委員会は考える。」(223項) |
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(5) ILO専門家委員会の累次の報告、および総会の条約勧告適用委員会の結論においても、結社の自由委員会の139次報告の内容と同様に、日本の公務員の労働基本権制限をILO基準に合致していないものとして、改善を求めるものであった。 1.消防、刑務、海上保安職員の団結権の否認について 「委員会はいくつかの労働組合団体が消防職員の団結権が認められていないことに関して情報提供を行ったことに留意した。委員会は、政府が関係のある労働組合と誠実な対話を行い、できるだけ早くその職員の団結権を保障するための措置をとるよう希望することを表明した。」(第89回総会・基準適用委員会) |
このように、日本の公務員法制はILOのさまざまな監視機構から強い批判と改善勧告を受けてきたが、日本政府はこれらを無視して今日まで何らの改善措置をとらず、いまなお労働基本権制約の法制を維持している。
(1) 2000年12月1日の行政改革大綱の閣議決定に基づいて進められてきた今回の公務員制度改革に対して連合及び連合官公部門連絡会は、社会経済情勢の大きな変化を踏まえながら、戦後50年を経過して歴史的・制度的な限界を迎えている日本の公務員制度を、より民主主義的なものに抜本的に改革することを日本政府に求めてきた。その最も重要な課題である公務員の労働関係については、ILOの勧告に基づいて公務員労働者に労働基本権を確立することなど、国際労働基準に沿ったものとすることを強く求めてきた。
しかし日本政府は、国際労働基準の適用を求めるわれわれの要求を一切受け入れず、ILOの諸原則への違反状況をさらに強める内容の公務員法改正作業を一方的に進めてきた。2001年12月25日に行われた日本政府の公務員制度改革大綱の閣議決定は、次に述べるとおり、1.決定に至る手続き
2.決定された内容の両面にわたって、結社の自由の原則を大きく侵害するものである。
(2) 閣議決定に至る手続きの問題点は、2001年6月の第89回ILO総会・条約勧告適用委員会で87号条約の日本の適用状況が審査された際、日本政府は「職員団体と誠実に交渉・協議する」ことを約束し、それを受けて政府に対して「公務部門の関係のある労働組合団体との社会的対話を促進する」ことを求める議長報告が採択されたにもかかわらず、その後、当該労働組合との十分な交渉・協議が行われないまま一方的に決定されたことである。これは、条約勧告適用委員会の議長報告に反するだけでなく、ILO87号条約に明確に違反している。
(3) 大綱の内容上の問題点は、ILOの勧告を再び無視し、われわれの要求を真剣に検討することもなく、「公務員の労働基本権の制約については、今後もこれに変わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持する」として、日本の公務員労働者の労働基本権の制約を継続する決定を行ったことである。その一方で大綱は、これまで人事院に付与されてきた人事行政に関する権限を大幅に剥奪し、内閣や各府省など使用者(政府)の人事管理権限を大幅に強める決定を行っている。
このことによって政府は、「今後もこれに代わる相応の措置を確保」するとの大綱の文言とは全く逆に、結社の自由委員会236次報告で指摘されている現状でも不十分な労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度の機能をさらに弱め、代償措置としてほとんど意味のないものにしようとしている。
(4) 連合及び連合官公部門連絡会は、2001年12月25日の大綱の閣議決定に強く抗議するとともに、閣議決定を撤回するよう強く求めた。しかし日本政府は、この抗議と要求をまったく考慮することなく、今後、大綱に基づいて国家公務員法、地方公務員法等の改正作業を進め、2002年12月には改正法案要綱をとりまとめ、2003年には改正法案を国会に提出する方針である。政府によって公務員法改正法案が提出されれば、自民党などの与党が絶対多数を占める国会では政府提案通り可決されることが十分予想される。
仮に、日本政府の提案による公務員法改正が行われれば、日本の公務員制度のILOの諸原則に対する違反は、日本の公務員労働者だけでなく、ILOにとっても国際労働基準の維持という側面からして決して無視し得ない深刻な事態をもたらすであろうことは必至である。
日本はG8の一員であるが、日本政府のこのような労働政策は国際労働基準の世界的広がりにとって大きな障害になりかねない。とくに、東アジアやアジアの途上国の労働組合権の発展にとって否定的な役割を果たしていることを強く指摘しないわけにはいかない。
1.行政改革大綱の閣議決定
公務員制度改革については、1997年5月に内閣総理大臣の諮問機関として、労働組合代表も参加した「公務員制度調査会」が設けられ、討議が行われた。「調査会」は1999年3月に基本答申を総理に報告し、内閣はこれを尊重するとの閣議決定を行った。「調査会」は基本答申後も、公務員の労働関係について検討作業を継続した。
しかし与党・自由民主党は、「調査会」の答申および作業を不満とし、その一切の成果物を無視して、与党と一部官僚のみで独自の作業を進めた。それに基づき、内閣は2000年12月1日、「新たな行政システムを構築する」として「行政改革大綱」を閣議決定した。その中には「国家公務員、地方公務員制度の抜本的改革」を行う方針が盛り込まれていた。
連合官公部門連絡会は、大綱の閣議決定に先立ち、11月27日に内閣総理大臣、同29日には総務庁長官に組合の意見を聞くよう申し入れたが、それらは一切省みられず、総理の諮問機関として権威ある調査会の答申を無視した決定が一方的になされたのであった。
2.行革推進本部・同事務局の設置
政府は、閣議決定内容を具体化するため、12月19日に総理大臣自らを本部長とする行政改革推進本部を設置し、年明けの中央省庁再編にあわせ、2001年1月6日、内閣官房に行政改革推進事務局を設置した。
そもそも、公務員制度に係る行政権限は、人事院、および内閣総理大臣の人事行政を補助する総務省人事・恩給局にある。内閣官房は公務員制度に関わる企画立案、実施権を法的に有しないのである。そうした機関が、公務員制度改革を担当すること自体、民主主義国家における法治主義をないがしろにするものである。
3.「公務員制度改革の大枠」を決定
政府は「3月中に『公務員制度改革の大枠』を決定し、6月には詳細設計を得る」とのスケジュールを示した。これに対し連合官公部門連絡会は、2月2日及び27日に組合の意見を「大枠」に反映するよう申し入れを行った。しかし政府は今回も組合の意見を一切反映することなく、3月29日に「公務員制度改革の大枠」の決定を強行したが、6月の「基本設計」決定に当たっては組合の意見を聞くことを約束した。
4.「公務員制度改革の基本設計」の決定
6月に予定されていた「基本設計」決定に向け、連合官公部門連絡会は5月16日、「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けての私たちの提言」を行革担当大臣(内閣改造で交替)に提出し、基本設計に反映するよう求めた。また、連合も「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求」を決定し、日本の労働運動全体が公務員制度改革を正しい方向に導くべく取り組みを行った。
この運動の一環として、日本の労働組合は2001年6月の第89回ILO総会で、政府が一方的に「基本設計」を作成しようとしていることを批判し、公務員制度改革が国際労働基準を反映したものとなるよう求めた。これに対し、日本政府は「基本設計は制度の具体的な内容を決定するものではない」として、「基本設計を示した後も職員団体をはじめとする関係者と誠実に交渉・協議する」と約束した。条約勧告適用専門委員会は「労働組合団体との社会的対話を確立する努力を政府が行うよう、強く求める」との議長報告を行った。
しかし政府は、約束にもかかわらず対話を行わず、6月29日「公務員制度改革の基本設計」を一方的に決定し、12月までに「大綱」を具体化するスケジュールを明らかにした。
5.「新人事制度の原案」提示から「大綱閣議決定」へ
政府は「基本設計」を踏まえて大綱策定作業を進め、11月6日に「行政職に関する新人事制度の原案」を提案した。ここに至るまで、検討内容について、労働組合との交渉協議を一切行わなかった。原案提示後も、連合官公部門連絡会は誠実な交渉・協議を強く求めたが、政府は原案内容を説明するのみで、われわれの意見を一切受け容れなかった。
「公務員制度改革大綱」(資料)の案は12月18日に提示された。最重要課題である労働基本権については「基本権の制約を維持する」とされていた。25日に大綱が閣議決定されるまで、職員団体と労働基本権についての交渉・協議は一切行われなかった。
この間、連合官公部門連絡会は、2度の文書申し入れをはじめとして繰り返し労働基本権の確立および誠実な交渉・協議による改革案決定を求めたが、ILO総会で政府が行った「誠実に交渉・協議する」という約束は全く果たされなかった。特に、行政改革担当の石原大臣は、12月7日の交渉において大綱決定前に労働基本権問題について直接回答することを約束していたにもかかわらず、大綱決定の直前になって何らの明確な理由の説明もなく再三にわたるわれわれの交渉申入れを拒否し、結局、石原大臣との交渉は行われなかった。