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8月25日、東京で、全消協第27回定期総会が開催された。総会には、未加盟組織・未組織消防本部の消防職員17人を含めて438人(うち女性0人)が参加した。
総会の前に、三重県RDF発電所消火活動にともない殉職した桑名市消協の仲間に対して、1分間の黙祷を行った。
総会では,米田会長、自治労本部の君島書記長、神奈川県消協の加藤事務局次長、自治労東京都本部の石田副委員長、高橋千秋参議院議員からのあいさつの後、谷内事務局長による2003年度経過報告が行われた。内容は、(1)昨年の第26回定期総会以降,8単協362人が新たに全消協に加盟し,今総会当日までに全消協は34県・184組織・約1万1,700人の組織となったこと、(2)国内では、常備消防体制のあり方研究会での議論を踏まえた消防・消防組織法の改正、国外では、ILOが日本政府に対して、消防職員の団結権の保障について2度にわたり勧告を示す一方、1月の消防・警察など公共緊急サービス労働者を対象としたILO合同会議では、労使および住民による社会的対話に基づき、質の高い公共サービスを実現する指針となるガイドラインが採択された。私たちは、自治労と連携して、運動の到達点を踏まえ主張を展開し、一定の意見反映をはかることができた。今後は、各単協運動の内外への発信が問われているなどである。
引き続き、(1)ILO公共緊急サービス合同会議の概要、(2)新時代にふさわしい常備消防体制のあり方研究会への対応、(3)1月の組織強化拡大対策委員会で承認された組織強化・拡大5ヵ年計画具体的推進体制(以下5ヵ年計画)などについて報告された。
午後から、川越副会長から、2004−2005年度活動方針案が提案された。方針の柱は、(1)労働基本権を前提とした民主的な公務員制度の実現にむけて、連合・自治労と連携して取り組みを推進するとともに、消防職員委員会の運営状況に関してのILOへの報告、自主組織の有効性と必要性などのアピールを通じて団結権獲得の環境整備をはかる、(2)5ヵ年計画に基づき、自治労と連携して、市町村合併なども念頭に置いて計画的な組織拡大をはかる、(3)労働条件・職場環境の改善として、(ア)無賃金拘束時間の解決にむけて、仮眠休憩時間時の出動実態調査を踏まえて、自治労と連携し、人事・公平委員会への措置要求、司法対策を視野に入れた支援協力体制を確立する、(イ)市町村合併による広域再編に対しては、自治労を通じて自治体当局への意見反映をはかる、(ウ)高齢者再任用制度の確立、(エ)メンタルヘルスなど労働安全衛生対策の充実、(4)消防行政の改善として、(ア)メディカルコントロール体制の確立など救急業務の充実、(イ)広域再編に対しては、住民サービスの低下を招かないよう対応すること、(ウ)医療・福祉・保健・教育機関との連携による地域安心・安全センター構想の推進、(エ)消防に関する財政のあり方の研究推進など時代変化に対応した諸活動の推進などであった。
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増田事務局次長からは、2004年度予算案および全消協消防総合研究委員会規程一部改正案が提案された。
(1)団結権確立への取り組み、(2)5ヵ年計画、(4)無賃金拘束時間問題、(5)財政のあり方について活発な質疑・討論の後、2004−2005年度活動方針案などの諸提案は、賛成多数で可決された。2004年度全消協役員体制として、会長に米田晋さん(北海道・函館市消協)、副会長に小林昇さん(広島・福山親和会)と迫大助さん(福岡県・大牟田市消防改善推進委員会)、事務局長に山崎均さん(高知県・安芸市消協)、事務局次長に伊藤薫さん(三重県・四日市市消協)らが選出され、総会を終了した。引き続き、「ILO勧告の全面実施!消防職員の団結権確立を求める8・25総決起集会」を開催し、質の高い消防行政の前進のため、社会的対話のもと、団結権確立がはかられるよう運動を強化していくとの決議を採択して本集会を終了した。
消防職員の団結権確立を求める特別決議
私たち消防職員は、他の人々が回避するような危険に立ち向かい、時には自らの命をかけて住民を守ることを任務としているが、仕事上の保護や一般的権利さえも否定されているという事実がある。とりわけ、長きにわたって労働者の基本的人権である「団結権」を否認され続けている。これは、消防職場の民主化や労働環境の改善を阻害するばかりか、住民本位の消防行政の充実発展にも大きな支障をもたらしている。
団結権が認められていないために、理不尽な職場運営が横行し、現場の声も閉ざされているなか、住民の消防へのニーズを最もよく知っている第一線の消防職員がモノを言えず、多くの建設的な要求や提言を活かす道がないことは、消防職員や地域住民にとっての大きな不幸である。
私たち全国消防職員協議会は、これらの苦難の状況から立ち上がり、1977年の結成において「沈黙と人間としての屈従を強いられる時代を終わりにする」ことを宣言し、その根源的な課題として団結権の獲得をめざしてきた。そしてこの間、連合や自治労と連携した運動を展開してきたが、特に今般の50年ぶりの公務員制度改革に対しては、自らの権利問題として連帯活動を進めてきた。
こうしたなか、2002年2月のILOへの連合提訴に関し、ILOは2002年11月、2003年6月の2度にわたり、日本政府に対して「消防職員の団結権付与」の勧告を突きつけている。これは、ILOがこの間勧告してきたものをさらに明確化し、日本政府に対する最後通牒とも言えるものであった。そしてまた、ILOが「政府は、消防職員委員会がスムーズに機能していると述べているが、肝心なことは日本の消防職員は団結する自由を持たず、彼らを代表する組織は団結権を求め続けている」と言及したことは、これまでの全消協運動が支持され、私たちの今後の運動に大きな勇気を与えている。しかしながら、政府は消防職員の団結権に関して従来通りの否定的な態度を取り続けており、この不条理に対し私たちは心底から強烈な憤りを持つものである。
私たち全消協は、全国15万消防職員を代表し、人間としての尊厳の回復に向け、政府に対して早急にILO勧告の全面実施・団結権確立を強く求める。また、ILO勧告における関係団体との交渉・協議の促進という趣旨を踏まえ、私たちとも社会的対話を進めるよう要請するものである。
私たちは、これからもいかなる困難があろうと、効果的で質の高い消防行政の前進をめざした私たち自身の正義の取り組みを確信し、その運動基盤となる団結権の確立に向け、関係諸団体と固く提携しながら、さらに一丸となった熱い活動の展開を決意する。
以上決議する。
2003年8月25日
ILO勧告の全面実施・消防職員の団結権確立
を求める8・25総決起集会
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